里山農場の理念

2023年現在、250世帯の消費者の方々に支えていただきながら、7ヘクタールの農地にて全面積、全作物、農薬と化学肥料を使用せず、年間60種類の野菜、米、大豆などの栽培を行う。

里山農場の循環農業

人々が、手を加える事により
人々に、集落に、国土に、恵みを与えてくれる
それが里山


物質の循環

里山の落葉を集め、堆肥にし、野菜を栽培
雑木は原木しいたけのほだ木、薪ストーブの薪に
暖かさを与えてくれたあとに残る灰は
野菜に甘みとうまみを醸し出す肥料として
降りそそぐ太陽と、天水が
多種多様な野菜、お米、原木しいたけなどを育ててくれる

命の循環

里山に住み続ける微生物たちが
落葉を堆肥にし
田畑を豊かにし
生命力のある農産物を育み
そして、それを食す人間たちに命を与えてくれる

経済の循環

夢と理想を追い求める里山農場に
共鳴してくださる方々に
喜びと感動を与えられる
農産物、加工品、サービスを提供し
社会の歯車となりたい

心の循環

生産者と消費者、若者とお年寄り、日本人と外国人
そんな隔たりを持たず
里山の恵みを感じ
喜べる仲間が集い
そんな仲間たちが
醸しだす力でワクワクできる

里山が生み出すこの
物質、命、経済、心、の循環を
皆さんに感じてもらうこと
広めていくこと

それが、里山農場のめざす熱き思い

里山農場と有機JAS

里山農場は、現在有機JAS法を取得していません。
ですから 里山農場の農産物は有機農産物ではありません。
そのことをご理解ください。

有機JAS法は、とてもよくできた法律です。
正直な生産者と消費者をつなげるとても有効な法律です。

けれど里山農場と皆様をつなげてくれる、
もっと素晴らしい方法があるような気がするから。
農薬や化学肥料を使用していないことを証明するよりも、
もっとお伝えしたいメッセージがあるから。

農業は楽しいものだから。
農産物は疑うものではなく、感謝して食べるものだから。


ただし里山農場では、就農した2001年から、
農薬と化学肥料を、全面積、全作物で使用していません。
みなさまとの約束です。


そして化学物質に過敏な私たちには、やはり辛いものだから、
けれども、現在の日本には必要な資材であるのも事実です。
その資材に頼らず、農場が運営できていることに、ただ感謝します。

里山農場のめざす将来像

 自然豊かな田舎で、家族とともに、農業をしたい。そんなあこがれのような気持ちではじめました。

 待望の子供が生まれましたが、理想と現実は異なり、子供を泣かせながら、配達の準備など、皆さんが想像している環境ではありませんでした。本当にこれでいいのか自問自答していました。

 それでも、自分たちのような生活にあこがれる多くの若く、情熱のある方々が我家に来られました。夫婦2人で農業で生活する事は、非常に困難で、決して人に薦められるものではありません。

 農業に携わる若い人は、もっと必要。そして農業をしたい若い人がいる。しかし、できない。なんとかしたい。

 もちろん経済的にゆとりのある生活を目指すことは、最重要だが、それと同じくらい大切な事もある。

 自分の仕事を子供たちに見せてあげること。自分たちが育てた農産物、そして調理した食べ物を、皆で楽しく食べる事。自然のなかで、子育てすること。自然の中で、仕事をすること。夫婦が同じ環境で働き、共に成長できる事。安心して、子供を預けられ、好きな仕事に没頭できる事。

 子供を育てている時は、本当に親が育てられている感じがしました。せっかくの素晴らしい機会と期間を、楽しめるように。

 皆さんに安心して、おいしい食べ物をお届けする事と同じくらいこれからの、里山農場の築きあげたいことです。


野菜の病気、虫害に関する考え方

 よく農業のことを御存知の方から、お言葉をいただくのが「農薬を使わないで、大変ではないですか?」

 答えは、「多分、大変」だと思います。虫が来ないように、防虫ネットをしたり、土の中の虫は、太陽熱の力を借りて処理したりしています。農薬を散布する以上に、手間も、コストも確かにかかります。

 そこで自分なりに、虫と、病気のことをまとめてみました。人間にも、当てはまりますよ。

虫がよくでる3条件

 1つめは、肥料がよく効き過ぎている野菜には、本当に虫が来やすいです。どうしても、気温が高すぎたり、雨が多すぎたりすると、肥料が過剰になる事があります。

 2つめは、環境が悪い時。つまり、空気がよどんでいたり、水はけが悪かったり、その野菜にとって、気温が高すぎたり。

 3つめは、体調が悪い時。同じようなところに植えつけた野菜でも、弱った野菜に集中的に虫はやってきて、まるでイジメのように、これでもかとやってきます。両隣は、大丈夫なのに。それでも、虫の密度があがれば、関係ないですけど。

病気がよくでる3条件

 1つは、食べすぎ。たとえ有機質肥料でも、多く与えすぎると、病気になりやすいです。牛糞、鶏糞堆肥のような動物質の有機質肥料は、確かに野菜が大きくなりやすいですが、病気にもなりやすいです。逆に落葉堆肥などの植物性の堆肥は、野菜は、それほど大きくなりませんが、病気にもなりにくいです。いろいろ考えはありますが、自分は、植物質と、動物質の有機質肥料をバランスよく与えています。このあたりのバランスが微妙ですが。

 2つめは、湿度。特に3月から7月までは、本当に気を使います。適度な雨はいいですが、多すぎると、本当に弱っていきます。傘をさしたり、エアコンの除湿機が使えるといいのですが。対策は、出来るだけ間隔をあけて、風の通りをよくする。土をしっかり盛り上げて、高いところで栽培する。とにかく、手間はかかります。特に梅雨の時期。

 3つ目は、ミネラルバランスの欠如。野菜によって、表現方法が違うのですが、カルシウムが足りないと、葉の色が黄色になったり、トマトは、果実のお尻が、黒くなったり。症状が出る前に、処方してあげるのが、ポイントです。カキガラ、岩塩、にがり、海草粉末などを利用しています。人間は、サプリメントで対応するのが、流行ですが。

 食べ過ぎ、湿度、ミネラルバランス。人間と同じなんです。野菜たちも。自分自身の体のことが、本当に分かれば、野菜たちの気持ちもほんとうにわかるんでしょうね。

 ちょっと薬をまけば、あっとゆうまに終わる作業を、里山農場では、ものすごい時間をかけて作業しています。もちろん時間がかからないように、いろいろ工夫はしていますが。

 それでも、病気も、虫も、これは何かのメッセージなんです。一生懸命、みんな自分たちに、教えてくれようとしているんです。物分りの悪い自分には、このぐらい時間をかけたほうがよいのでしょう。

 そんな声が、素直に聞ける百姓になりたい。